「催情記」☆はじめて状を請(うけ)同心なき次第
☆はじめて状を請(うけ)同心なき次第
いやなものならば御返事御無用かさねてあげ候とも三度までは御返事あるまじく候
其上にてもたへずせめて御自筆なりともおがみたきなどと申こし候はそのときさつと御返事あるべく候
此中は細々御状まことに人を人とおぼしめしかたじけなく存候
とかく御返事をも申候はんづれどもとてもえならぬものゆへに御返事よしなしとも義なく候
慮外御心中の段めいわくつかまつり候
おぼしめしよられかたじけなき事いふはおろかに候へどもしさい候ままなり
申さず候づんどおぼしめしきりなさるべく候
さしもかたじけなく存ずべく候
御心中まことにいとほしくいかばかり笑止に思ひたてまつり候へどもこの世のうちはなり申さず候
御えんもあらばながき世にかたり申べく候
右のとをりに御入候まま御ききわけにて下さるべく候
今よりはこなたよりも如在に存ずまじく候
かやうに申候へば御はなし候事も同前にてあるまじく候や
かさねて御状下され候とも御へんじつかまつるまじく候と御書候てうけ其いかなるものにてもかさねては申あぐまじく候
その上にても申やつには御かまひ候まじく候
そうべつ一へん上人(一遍上人?)とたとへたるものとは御はなしあるまじく候