「催情記」☆いしやう(衣装)の事

☆いしやう(衣装)の事

 

冬は小袖二つ三つうすわた(薄綿)にして春秋はあわせ(袷)ひとへもの(単物)はたれ(誰)もしることぢや

小袖のき様(着よう)下の小袖のえりを出し中の小袖のえりもすこし出し上をばぼじやぼじやとなるやうにうしろにしは(皺)よせず前にしは(皺)よせてとかく前を引まはしこゑたやせた(肥ゑた痩せた)によらずこづま(小褄)たかき(高き)がよさそふな

いしやう(衣装)はすきすぎなり

かたびら(帷子)はあをみたる(青みたる)はかりそめにもきる(着る)事なかれ

四季ともにあさ(朝)とねさま(寝様?)ときやら(伽羅)にても又はたき物(薫物)にてもたかせられてよい物也