「催情記」☆食物方の事

☆食物方の事

 

くがい(公界:公の場。世間)人中(ひとなか)にてふるまひくい候事くひやう(食ひ様)しなしなおぼしわかしゆ(若衆)時はなにとなくぜん(膳)にすはる(座る)物なり

ぜんにむかひよろこび候へば食(じき)よろこびとて人がわらふ(笑ふ)もの也

はし(箸)をとる共人よりをそく(遅く)とりあぐるものなり

さてめし(飯)のふた(蓋)よりとり(取り)しる(汁)のふた(蓋)とりめしよりくふ(食ふ)

本膳の汁気にいらずは二三のにてもくるしからず候

さきにたぶん四季共になますつくるもの也

わすれてもまるなよ

だいこん(大根)など入たるはなをなを御無用とかくしもばらのきんぜい(禁制)